大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)50 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人中村慶七の上告理由について。

上告人が昭和二八年一一月頃訴外Dに対し、金一〇万円の範囲内において、同人

が被上告人より借用する債務の保証人となることを承諾し、その保証契約のみなら

ず、これに伴う本件建物に対する抵当権設定契約およびその登記手続をするための

代理権を授与した旨、右Dが上告人の代理人として金三〇万円を極度額とする本件

根抵当権設定契約を締結するにあたり、上告人の印鑑、印鑑証明書、本件建物の登

記済証を所持し、これを被上告人に示して上告人の代理人であることを表明し、な

お、上告人の本件建物に関する火災保険証券をも被上告人に差し入れたので、被上

告人はDが本件根抵当権設定契約の締結およびその登記手続をすることについて上

告人を代理する権限を有するものと信じた旨の原審(その引用する第一審判決)の

判断は、その挙示する証拠関係に照し、肯認できる。しかして、右のような事実関

係の下において、Dが本件根抵当権設定契約を締結する代理権を有するものと被上

告人が信じたことに過失はない、また、かく信ずるについて正当な理由があつた旨

の原審の判断も、正当である。なお、被上告人が所論表見代理の主張をしているこ

とは、記録(昭和三三年六月四日第一審第一六回口頭弁論調書)上明らかであつて、

原判決に所論の違法はなく、所論は、ひつきよう、被上告人の右主張の不存在を前

提として原判決を攻撃し、または原判示に副わない事実を前提として原審の適法に

した事実認定および法律判断を非難するに帰し、採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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